
『リバー、流れないでよ』が面白くないという評価を見かけて、視聴をためらっていませんか。
本作は、独特の作風からイライラするという声や、一部では怖いという感想も見られます。
しかし、興行収入は1億円を突破し、高い評価も得ています。
この記事では、あらすじ(ネタバレあり)から雪のシーンの考察、そしてよく比較される『カメラを止めるな!』との違いまで、多角的に解説します。
💬 この作品は、2分間を繰り返す旅館が舞台のSF会話劇コメディです。
緻密な設定やユニークな会話劇が好きな人には特におすすめですが、物語の大きな展開や、最後に胸のつかえが一気に取れて“スカッとする”ような大きな感情の解放を求める人には向きません。
作品情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 劇場公開日 | 2023年6月23日 |
| 監督 | 山口淳太 |
| 上映時間 | 86分 |
キャスト一覧
- 藤谷理子:仲居 ミコト役
- 鳥越裕貴:料理人見習い タク役
- 本上まなみ:女将 キミ役
- 早織:仲居 チノ役
- 永野宗典:番頭役
- 角田貴志:料理長役
- 酒井善史:板前 エイジ役
- 諏訪雅:宿泊客 ノミヤ役
- 石田剛太:宿泊客 クスミ役
- 近藤芳正:作家 オバタ役
- 中川晴樹:編集者 スギヤマ役
- 久保史緒里(乃木坂46):旅行者風の女性 ヒサメ役
その他の出演者
土佐和成:猟師役
諸岡航平:板前 モリオカ役
黒木正浩:板前 シラキ役
引用元:リバー、流れないでよ公式サイト
ふむふむ、「『リバー、流れないでよ』は面白くない」という噂の真相か…。この評価の裏にはどんな理由が隠されているのか、うーん、これはただの映画じゃないな、調査のしがいがありそうだね!
『リバー流れないでよ』が面白くないと言われる理由の分析
- まずは物語のあらすじを紹介(ネタバレあり)
- なぜイライラするという声が上がるのか
- 怖いと感じさせるサスペンス要素の正体
- 各映画サイトでの評価と批評家の意見
- 独特の演劇的な作風が合わない可能性
まずは物語のあらすじを紹介(ネタバレあり)

『リバー、流れないでよ』は、京都の貴船に実在する老舗料理旅館「ふじや」を舞台にした物語です。
仲居のミコトをはじめ、旅館の従業員や宿泊客たちが、突如として2分間のタイムループに巻き込まれてしまいます。
時間が進まないことに登場人物たちは困惑します。例えば、熱燗はいつまでも温まらず、〆の雑炊は決してなくなりません。
2分が経過すると、全員がそれぞれの「初期位置」へと強制的に戻されてしまうのです。
しかし、ループを繰り返しても記憶だけはリセットされずに引き継がれるため、彼らは協力して原因究明に乗り出します。
物語が進むにつれて、ミコトが抱く「時間が止まってほしい」という願いがループの原因ではないかと疑われます。
彼女は、恋人である料理人見習いのタクがフランス修行へ旅立つのを止めたいと考えていたからです。
しかし、物語の終盤でループの真の原因が明らかになります。
それは、未来から来たタイムトラベラー、ヒサメが持ち込んだタイムマシンの故障でした。
最終的に、登場人物たちの協力によってマシンは修理され、時間は再び正常な流れを取り戻します。
ループを経験したミコトとタクは本音で語り合い、互いの未来へ向けて前向きな一歩を踏み出すところで物語は幕を閉じます。
なぜイライラするという声が上がるのか

本作に対して一部の視聴者から「イライラする」という声が上がるのは、主に二つの要因に起因すると考えられます。
一つ目は、物語の構造そのものです。2分間という短い時間が何度も繰り返されるため、話の進展が遅いと感じられることがあります。
特に、登場人物たちがループの法則を理解し、有効な対策を立て始めるまでの過程は、もどかしさを感じるかもしれません。
二つ目の要因は、主人公ミコトの行動です。物語の中盤、彼女はループの原因が自分にあると思い込み、恋人のタクと共に皆から離れて二人だけの逃避行を繰り返す場面があります。
この行動が、ループからの脱出を目指す他の登場人物たちの努力を妨げるように映り、一部の視聴者には自己中心的に感じられることがあるようです。
このようなキャラクターの行動や、反復される物語の展開が、面白くないと感じさせる一因となっている可能性があります。
怖いと感じさせるサスペンス要素の正体

『リバー、流れないでよ』はコメディ作品ですが、一部の視聴者が「怖い」と感じる要素も含まれています。
この怖さの正体は、状況がもたらす心理的な圧迫感と、突発的に発生する緊張感にあります。
まず、2分間のループに閉じ込められるという設定自体が、「時の牢獄」としての閉塞感を生み出します。
永遠に同じ時間を繰り返すかもしれないという状況は、登場人物だけでなく観る者にも軽い不安を感じさせるでしょう。
また、物語は基本的に穏やかに進みますが、時折、緊張感の高い場面が挿入されます。
例えば、ループ状況に精神を蝕まれた宿泊客の作家が自殺を図ったり、刃傷沙汰を起こしたりするシーンです。
これらの出来事は、ループによって「何をしても元に戻る」という非現実的な状況が、人間の倫理観にどのような影響を与えるかを探る、ブラックコメディ的な側面を持っています。
こうした予測不能な展開が、物語にサスペンスの要素を加えています。
各映画サイトでの評価と批評家の意見
本作の評価は、全体的に高い水準にありますが、絶賛一色というわけではなく、意見が分かれる部分も見受けられます。
大手映画レビューサイト「Filmarks」では、平均スコアが5点満点中3.8と高評価です。
しかし、レビューの分布を見ると、多くの支持を集める一方で、作品の独特な作風に合わないと感じる層も一定数存在することがうかがえます。
批評家からは、その独創的なアイデアと緻密に練られた脚本が高く評価されています。
特に、2分間のループという制約を逆手に取った物語の展開は、多くの映画祭で称賛されました。
実際に、第15回TAMA映画賞で特別賞を、第33回日本映画批評家大賞では上田誠氏が脚本賞を受賞するなど、専門家からの支持は厚いです。
この映画はアイデアは一級品だが、物語の展開が丁寧すぎて予測しやすく、大きな感動を求める人には少し物足りなく映るかもしれません。
そのため、アイデアを重視するか、物語の感動を重視するかで、観る人の評価が分かれています。
独特の演劇的な作風が合わない可能性

『リバー、流れないでよ』を面白くないと感じる背景には、作品の持つ「演劇的な作風」が関係しているかもしれません。
本作を制作した「ヨーロッパ企画」は、もともと京都を拠点に活動する人気の劇団です。
そのため、映画の随所に舞台演劇ならではの表現が見られます。
例えば、一つの空間で多くの登場人物が会話を繰り広げるアンサンブル劇の形式や、俳優たちのリズミカルな台詞の掛け合いなどが特徴的です。
このスタイルは、小劇場系のコメディが好きな人にとっては大きな魅力となります。
しかし、映画的なリアリズムや、静かで落ち着いたトーンを好む視聴者にとっては、演技が少し大げさに感じられたり、劇団の「内輪ノリ」のように映ったりすることがあるようです。
このように、ヨーロッパ企画が長年培ってきた舞台上での表現方法が、映画というメディアに持ち込まれたことで、観る人によって好みがはっきりと分かれる結果につながっていると考えられます。
『リバー流れないでよ』は面白くない、はもったいない魅力
- 物語の鍵となる雪のシーンを考察
- 1億円を突破した興行収入の実績
- カメラを止めるな!との決定的な違い
- アイデアで魅せる緻密な脚本の構成力
- ループの回数は?作中の時間設定も解説
- 2分ループが生み出す独特のリズム
- 『リバー流れないでよ』は面白くない、と感じた方へ
物語の鍵となる雪のシーンを考察

劇中で印象的に描かれる雪のシーンは、単なる美しい冬の風景以上の重要な役割を担っています。
実は、この雪の描写は、撮影中に「10年に一度」と言われるほどの豪雪に見舞われたという、製作上のアクシデントから生まれました。
タイムループ作品では、通常、毎回同じ状況を再現する必要があります。
しかし、制作陣はこの予期せぬ天候の変化を逆手に取り、物語に組み込むという創造的な判断を下しました。
作中では、ループの影響で「世界線がずれているため天候が変わる」と説明されます。
さらに、雪の降り方や積もり具合は、主人公ミコトの心情と巧みにリンクさせています。
彼女の不安や決意といった感情の揺れ動きが、外の世界の天候変化として視覚的に表現されているのです。
このように、製作上の制約を物語の力に変えた雪のシーンは、本作の独創性を象徴する要素であり、登場人物の内面を深く描き出すための効果的な演出となっています。
1億円を突破した興行収入の実績
『リバー、流れないでよ』は、インディーズ映画としては異例の商業的成功を収めました。
2023年6月、本作は全国20館という小規模な形で公開をスタートしました。
しかし、公開直後からその評判は口コミで急速に広がり、都内の劇場では満席が続出する事態となります。
この熱狂的な反響を受け、上映館は次々と拡大され、最終的には全国約80館で上映されるロングランヒットとなりました。
観客動員数も着実に増加し、国内の興行収入は1億円を突破しています。これは、大規模な宣伝を行わない低予算映画としては、特筆すべき成果です。
この成功は、作品の持つアイデアの力と質の高さが、多くの観客の心を掴んだことの証明と言えるでしょう。
カメラを止めるな!との決定的な違い
本作は、低予算ながら口コミで大ヒットしたという点で、2017年の映画『カメラを止めるな!』と頻繁に比較されます。
しかし、両作品には明確な違いが存在します。最大の相違点は、物語の構造にあります。
『カメラを止めるな!』の魅力は、前半のワンカットゾンビ映画が、後半でその裏側を描くことによって全く異なる意味を持つという「構造的な大どんでん返し」にありました。
一方、『リバー、流れないでよ』は、物語の枠組み自体を覆すような仕掛けはありません。
この作品の面白さは、「2分間のループ」という一貫したルールの中で、登場人物たちがどのように状況を打開していくかという、緻密なプロットと会話劇によって生み出されます。
以下の表で両者の特徴をまとめます。
| 特徴 | リバー、流れないでよ | カメラを止めるな! |
|---|---|---|
| 物語構造 | 単一の枠組み内での反復進行 | 多層的な構造転換(どんでん返し) |
| 独創性の源泉 | ループ内での緻密なプロットと対話 | メタナラティブな構造的暴露 |
| 中心的テーマ | 時間、変化、人間関係 | 映画制作、情熱、共同作業 |
| 鑑賞体験 | 複雑なパズルを解くような喜び | 伏線回収による爽快感と感動 |
このように、両作品はアイデア勝負の快作という点は共通していますが、そのアプローチと観客に提供する体験は大きく異なっています。
アイデアで魅せる緻密な脚本の構成力
『リバー、流れないでよ』の最大の魅力は、その独創的なアイデアと、それを支える脚本の緻密な構成力にあります。
本作が設定した「2分間」という極端に短いループ周期と、「登場人物全員が記憶を保持している」というルールは、物語に大きな制約を与えます。
しかし、脚本はこの制約を逆手に取り、物語を駆動させるエンジンへと昇華させています。
例えば、登場人物たちは2分という限られた時間の中で情報を共有し、次の行動計画を立てなければなりません。
旅館の異なる階にいる人物と合流するだけで、貴重な時間の大半を消費してしまうこともあります。
この時間的・空間的な制約が、登場人物たちに効率的な戦略を考えさせ、「初期位置」といったゲームのような用語を生み出し、観る者に独特の緊張感とユーモアを提供します。
ありふれたタイムループというジャンルに新たな息吹を吹き込んだ、この脚本の見事さが、本作を単なるアイデア映画に終わらせない、強い引力となっています。
ループの回数は?作中の時間設定も解説
映画『リバー、流れないでよ』で描かれるタイムループは、具体的に何回繰り返されるのでしょうか。
作中では、約35回のループが描かれています。ループする時間は、午後13時56分20秒頃から13時58分20秒頃までの、きっかり2分間です。
この「2分間」という極端に短い時間設定と、「35回」という具体的な回数が、物語の大きな特徴となっています。
他のタイムループ作品と比較しても、この短さと回数の多さは際立っており、登場人物たちの混乱や状況に適応していく様子を、スピーディーかつコミカルに描き出すための重要な要素です。
単に同じ場面を35回見せられるわけではありません。
それぞれのループで登場人物たちは記憶を引き継いでいるため、回を重ねるごとに少しずつ状況が変化し、物語が進展していくのです。
この構造によって、観客は反復の中に新しい発見や笑いを見出し、物語への没入感を深めていきます。
したがって、35回というループの回数は、この映画独特のリズム感と面白さを生み出す、物語の心臓部と言えるでしょう。
2分ループが生み出す独特のリズム

本作のもう一つの特徴は、2分間のループシーンが、そのほとんどをワンカットの長回しで撮影されている点です。
この手法が、作品に独特のリズムと没入感をもたらしています。
長回しで撮影することにより、観客は登場人物たちが体験する2分間を、ほぼリアルタイムで共有することになります。
同じような光景が繰り返されるにもかかわらず、ループごとに登場人物たちの動きや会話が少しずつ変化し、段取りが洗練されていく様子を目の当たりにできるのです。
この演出は、反復的な構造が単調になるのを防ぐと同時に、物語が少しずつ前に進んでいることを視覚的に示してくれます。
例えば、何度も同じ階段を上り下りする主人公の姿を通して、ループからの脱出がいかに困難であるかが身体的に伝わってきます。
映像作品でしか表現できないこの手法によって、観る者は単なる傍観者ではなく、ループの世界の参加者のような感覚で物語に引き込まれていくでしょう。
『リバー、流れないでよ』は面白くない、と感じた方へ
この記事では、『リバー、流れないでよ』が面白くないと感じられる理由と、その一方で多くの人を魅了する独自の魅力について多角的に解説しました。最後に、本記事の要点をまとめます。
- 本作は京都の老舗旅館を舞台にした2分間のタイムループ劇
- 面白くないと感じる主な理由は演劇的な作風と反復構造にある
- 怖さの正体はホラーではなく心理的な閉塞感とサスペンス要素
- 評価は全体的に高いが作風によって好みが分かれる傾向
- 撮影中の豪雪を逆手に取った雪のシーンは登場人物の心情を象徴
- インディーズ映画として興行収入1億円突破という商業的成功を収めた
- 『カメラを止めるな!』とは構造とテーマが異なり違った魅力を持つ
- ヨーロッパ企画という劇団が制作しており舞台的な表現が色濃い
- 斬新なアイデアと脚本の構成力は多くの映画祭で高く評価された
- コメディでありながら人間の心理や時間の流れについて考えさせられる
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