
映画『事故物件 恐い間取り』が「ひどい」と検索されていることに関心をお持ちでしょうか。
この作品は、興行収入23億円を超える大ヒットを記録した一方で、なぜかゴミという辛辣な評価や、鑑賞中に気まずいと感じたという声も少なくありません。
この記事では、主演の亀梨和也さんの演技、本当に怖いのか、それとも笑えるのかという両極端な感想、さらには物語の核心に触れるネタバレまで、あらゆる角度から徹底的に掘り下げます。
また、劇中で心霊が写ってるという噂や、謎のおばあちゃんのセリフの真相、そもそも事故物件の映画は本当ですか?
という根本的な疑問にもお答えします。なぜこの映画が賛否両論を巻き起こしたのか、その理由がこの記事を読めばすべて明らかになります。
一言アドバイス
この作品は、実在の事故物件芸人の体験を基にした“じわ怖”ホラーです。序盤〜中盤のリアルな怪奇現象を楽しめる方にはおすすめですが、ラストの唐突なSF風バトルやメロドラマ展開に違和感を覚える方には向かないかもしれません。
作品情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 劇場公開日 | 2020年8月28日 |
| 監督 | 中田秀夫 |
| 上映時間 | 111分 |
映画『事故物件』:公式サイトはこちら
事故物件の背後に潜む恐怖や不可解な出来事を描いた書籍『事故物件怪談 恐い間取り』の著者が、自らの体験をもとに“事故物件”の実情を語るインタビュー記事です。
▶ 記事はこちら:「事故物件怪談 恐い間取り」著者が語る事故物件の実情
「ふむふむ……“事故物件 ひどい”という検索が多いようだ。これはどうやら、映画の真価と視聴者のギャップに秘密がありそうだな。」

なぜ『事故物件』の映画はひどいと言われるのか
- 事故物件の映画は本当ですか?実話との違い
- 主演である事故物件の映画の亀梨の演技評価
- ネタバレ注意!衝撃的なラストシーンとは
- Jホラーとして事故物件の映画は怖い?
- 恐怖より笑える?コメディと言われる理由
事故物件の映画は本当ですか?実話との違い
結論から言うと、この映画は「実話を基にしたフィクション」です。物語の根幹には事実がありますが、多くの部分は映画として面白くするために大胆に作り変えられています。
その理由は、原作が「事故物件住みます芸人」松原タニシさんの実体験を綴ったノンフィクション怪談集である一方、映画は一本のエンターテイメント作品として成立させる必要があったためです。
原作の持つドキュメンタリータッチのリアルな恐怖だけでは、2時間の映画としての物語の起伏を作るのが難しいと考えられたのでしょう。
例えば、映画で描かれる怪奇現象の多くは、松原タニシさんが実際に体験したとされる出来事が元になっています。部屋にオーブが映り込んだり、原因不明のラップ音がしたりといった現象は、原作でも語られているエピソードです。
しかし、映画を盛り上げるための脚色が数多く加えられています。特に大きな違いは、登場人物と物語の展開です。
ヒロインの小坂梓(奈緒さん)や元相方の中井(瀬戸康史さん)といった主要な登場人物は映画オリジナルのキャラクターであり、彼らとの友情や恋愛模様は完全に創作された要素です。
さらに、原作が様々な物件での怪談をまとめた短編集のような構成であるのに対し、映画ではすべての怪奇現象が一つの元凶(ラスボス)に繋がっていくという、サスペンス仕立てのストーリーに再構築されています。
原作と映画の主な違い
| 項目 | 原作(実話ベース) | 映画(フィクション) |
|---|---|---|
| 主人公 | 松原タニシ(実在の芸人) | 山野ヤマメ(亀梨和也演じる架空の芸人) |
| 人間関係 | 基本的に単独での活動や取材が中心 | ヒロインや元相方との友情・恋愛が描かれる |
| 怪奇現象 | 個別の物件で起こるリアルな怪談の積み重ね | すべての怪異が一つのラスボスに繋がるサスペンス展開 |
| 結末 | 現在も事故物件に住み続けている | ラスボスを倒して事件が一応は解決する |
以上の点を踏まえると、映画『事故物件 恐い間取り』は、あくまで「松原タニシさんの実体験」という魅力的なテーマを借りたエンターテイメント作品として鑑賞するのが適切だと言えます。
主演である事故物件の映画の亀梨の演技評価

映画『事故物件 恐い間取り』における主演・亀梨和也さんの演技は、作品全体の賛否とは別に、総じて高い評価を得ています。
多くの方が評価したのは、売れない芸人が抱える悲哀や焦りを見事に表現した点です。
これまでの華やかでスター性の高いイメージを封印し、どこか影のある、うだつの上がらない芸人のやるせない雰囲気をリアルに演じきりました。
また、ホラー映画の巨匠である中田秀夫監督が絶賛したように、怪奇現象に遭遇した時のおびえる表情やリアクションが非常にリアルで、観客の恐怖を効果的に煽る役割を果たしました。
物語が進むにつれて、恐怖よりもネタへの欲求が勝り、次第に目が据わっていく主人公・ヤマメの狂気じみた変化を巧みに演じた点も、俳優としての力量を感じさせます。
この高い評価の背景には、亀梨さんの徹底した役作りがあります。
原作者である松原タニシさんのトレードマークである眼鏡を自ら提案して着用したり、タニシ氏の癖を研究して演技に取り入れたりと、キャラクターへ真摯に向き合う姿勢が、リアルな「山野ヤマメ」像を作り上げました。
一方で、一部からは「やはりイケメンすぎて売れない芸人には見えない」といった、彼のスター性ゆえの意見も見受けられました。
しかし、国民的アイドルが演じるからこそのギャップが、この作品に大きな話題性をもたらし、Jホラーファン以外の層を劇場に呼び込む原動力となったことは間違いありません。
ネタバレ注意!衝撃のラストシーンとは

この映画が「ひどい」と酷評される最大の要因が、衝撃的なラストシーンにあります。物語の終盤、それまでのJホラー特有のじっとりとした恐怖から一転し、観客が唖然とするような展開を迎えるのです。
主人公のヤマメは、これまでの怪異の元凶とされる最強の事故物件に乗り込みます。
彼を心配して駆けつけたヒロインの梓と元相方の中井も合流しますが、そこに全ての元凶である黒装束の殺人鬼の霊(ラスボス)が出現します。
問題はここからです。これまでヤマメが関わってきた物件の霊たちが、物理的な実体を持って次々と襲い掛かってくるのです。
物語のジャンルはここでホラーから完全に逸脱し、まるで特撮ヒーロー番組やファンタジーアクション映画のような、霊たちとの物理的なバトルが繰り広げられます。
強力な霊媒師が結界を張って応戦し、ヤマメたちも様々な方法で霊を撃退。最終的に全員で協力してラスボスを倒し、家は静けさを取り戻します。
この唐突なジャンル変更と荒唐無稽な展開に、多くの観客、特に本格的なJホラーを期待していたファンは「求めていたものと違う」「興ざめした」と感じました。
恐怖ではなく、失笑や白けた感情を抱かせたことが、作品全体の評価を著しく下げ、「ひどい」「ゴミ」という辛辣な感想に繋がった最大の理由と考えられます。
原作にはもちろん、このようなバトル展開は存在しません。
Jホラーとして事故物件の映画は怖い?

本作がホラー映画として「怖いか、怖くないか」という問いに対する答えは、観る人のホラー耐性によって大きく分かれます。
ホラー映画に慣れていない方や、突然大きな音で驚かせる「ジャンプスケア」が苦手な方にとっては、間違いなく「怖い」映画です。
物語の序盤、主人公が最初に住む物件で起こる怪奇現象は特に評価が高く、Jホラーらしい静かでじわじわと日常が侵食されるリアルな恐怖を描いています。
「自分の家でも起こるかもしれない」と感じさせる不気味さは、後を引く怖さがあります。
また、全編を通して、静寂を破る突然の物音や、画面に急に現れる幽霊といった、観客を直接的に驚かせる演出が多用されています。これらの演出は生理的な恐怖を引き起こすため、心臓が弱い方には刺激が強いかもしれません。
一方で、筋金入りのホラーファン、特に心理的な恐怖を好む層からは「怖くない」という意見が多く聞かれます。
その理由は、前述の通り、物語の後半が荒唐無稽なバトル展開になることで、それまで積み上げてきた恐怖の緊張感が完全に途切れてしまうためです。
はっきりと姿を見せるCG感の強い霊の姿も、恐怖を減退させる要因となっています。
したがって、本作の怖さは「ホラー初心者には十分怖いが、ホラー上級者には物足りない」というのが実情と言えるでしょう。
恐怖より笑える?コメディと言われる理由

『事故物件 恐い間取り』がホラー映画でありながら「笑える」と評される理由は、制作側が意図した「コメディ要素」と、意図せずして観客の笑いを誘ってしまった「シュールな展開」の二つに大別されます。
意図されたコメディ要素
まず、本作には明確にコメディリリーフの役割を担うキャラクターが配置されています。
主人公の元相方・中井を演じる瀬戸康史さんのどこか頼りないキャラクターやビビりなリアクションは、物語の緊張を和らげる癒やしとして機能しています。
また、テレビ局のプロデューサーを演じる江口のりこさんをはじめ、癖の強い脇役たちのコミカルな演技も、意図的に笑いを誘うシーンとして盛り込まれています。
意図しないツッコミどころとしての笑い
しかし、本作が「笑える映画」として語り継がれる最大の理由は、ホラー演出やストーリー展開が観客の予想を超えすぎた結果、恐怖を通り越して笑いが込み上げてしまう点にあります。
最も象徴的なのが、クライマックスのバトルシーンです。Jホラーの常識を覆すラスボスとの物理的な直接対決に、多くの観客は「どういうこと?」と唖然とし、やがてその突拍子のなさに耐えきれず吹き出してしまいました。
「映画館で笑いをこらえるのが一番のホラーだった」という感想が続出するほど、このシーンは本作最大の爆笑ポイントとなっています。
このように、ホラー映画として観ると賛否が分かれるものの、「ツッコミ系ホラーコメディ」という新しい視点で鑑賞することで、唯一無二のエンターテイメント体験ができる作品と考えることもできます。
『事故物件』の映画がひどいと言われる評価の真相
- 「ゴミ」とまで酷評される脚本や演出
- 鑑賞中に気まずい空気になるって本当?
- 謎のおばあちゃん。セリフの真相を解説
- 心霊が写ってる?話題のシーンを検証
「ゴミ」とまで酷評される脚本や演出
この映画が一部で「ひどい」を通り越して「ゴミ」とまで酷評されてしまう背景には、観客、特にホラーファンと原作ファンの期待を根底から裏切ってしまった点があります。
第一に、監督が『リング』などでJホラーを世界に知らしめた中田秀夫氏であったため、多くのファンは質の高い心理的な恐怖を期待していました。
しかし、実際の内容は唐突なラブストーリーやコメディ要素、そして前述のファンタジーのようなCGバトルが中心でした。
この期待との著しいギャップが、「Jホラーへの冒涜だ」という強い失望や怒りを生み、「ゴミ」という辛辣な言葉に繋がったのです。
第二に、原作の持つ魅力を無視した脚色が挙げられます。原作は、派手な演出がないからこそ際立つリアルな恐怖が魅力のノンフィクションです。
しかし映画では、安易な恋愛要素を加え、最終的には物理的に霊と戦うという、原作とは似ても似つかぬ物語に変貌させてしまいました。
この改変が、原作のドキュメンタリータッチの不気味さを愛するファンから激しく非難される原因となりました。
これらの理由から、単につまらないというだけでなく、「期待を裏切られた」という強い感情が、「ゴミ」という極端な評価を生んでいると考えられます。
鑑賞中に気まずい空気になるって本当?

「事故物件の映画を観て気まずい空気になった」という感想は、実際によく聞かれます。この「気まずさ」は、ホラー映画特有の怖さとは異なる、本作ならではの鑑賞体験に起因するものです。
その最大の理由は、一つの映画の中にホラー、コメディ、ラブストーリー、アクションといった多様なジャンルが混在している点にあります。
例えば、お化け屋敷感覚でホラーを楽しもうと友人と観に行ったのに、予想以上にしっとりとした恋愛模様が始まってしまい、お互いにどういう顔をしていいか分からなくなる、といった状況です。
また、緊張感あふれるホラーシーンの直後にコミカルなやり取りが挟まれるなど、感情の緩急が激しいのも特徴です。
この急なジャンルの切り替えに観客のリアクションが追いつかず、笑っていいのか怖がるべきなのか分からなくなり、一緒に観ている人と顔を見合わせて気まずくなった、という声も多く見受けられます。
クライマックスの突飛なバトル展開に至っては、恐怖や感動ではなく「どういう気持ちで観ればいいんだ…」という白けた感情が生まれ、劇場で失笑が起きたという報告もあります。
このように、観客の期待と映画の内容がズレることによって生まれる戸惑いや温度差が、本作特有の「気まずさ」の正体と言えるでしょう。
謎のおばあちゃん。セリフの真相を解説

劇中で強い印象を残すシーンの一つに、2件目の事故物件で聞こえる「おばあちゃんのセリフ」があります。
これは、主人公のヤマメが元相方の中井から受け取った留守電音声に録音されていた、老婆の断末魔の叫びです。
このセリフは非常に聞き取りにくいのですが、複数の観客の証言やレビュー、字幕付きでの確認によると、 「捨て子のくせに」 と叫んでいることが分かっています。
この物件は、老婆が息子に殺害されたという設定です。そのため、このセリフは殺される直前に、息子に向けて発せられた怨嗟の言葉であると推測されます。
親子間の根深い確執や、事件の悲惨さを感じさせる非常に重い一言であり、多くの観客に強烈なインパクトを与えました。
ヤマメがこのおぞましい音声を聞いて「これは使える…」と芸人としてのネタにしようとする描写もあり、彼の狂気性を際立たせる重要なシーンとなっています。
心霊が写ってる?話題のシーンを検証

映画『事故物件 恐い間取り』には、公開当初から「本物の霊が写り込んでいるのではないか」という噂が絶えません。
この噂は、原作者である松原タニシ氏本人が「めちゃくちゃ(霊が)映ってる」と公言していることもあり、信憑性を増しています。
特に多くの人が指摘しているのは、以下のシーンです。
- エンドロールの写真: 最も有名なのが、エンドロールで流れる松原タニシ氏本人の写真です。撮影時にはいなかったはずの黒い人影のようなものが、はっきりと確認できると言われています。
- 窓ガラスに映る顔: 主人公が部屋にいるシーンで、ふと映る窓ガラスや暗がりに、こちらを覗く女性の顔のようなものが見えるという報告が多数あります。
- 畳に浮き出る手の跡: 序盤の内見シーンで、何もないはずの畳の上に、黒いシミのような手の跡が見えるというものです。
- 謎の声: サイン会のシーンで、演出にはない「たすけて…」という声が聞こえるという噂も広まりました。これについて中田監督は、意図的に入れたものではないとコメントしています。
これらの現象が本物の心霊現象なのか、あるいは制作側が話題作りのために意図的に仕込んだ演出なのか、真相は明らかにされていません。
光の反射や模様の見間違い(パレイドリア現象)の可能性も十分に考えられます。
しかし、この「答えのなさ」がホラー映画の楽しみの一つでもあります。
「霊が写っているらしい」という口コミが宣伝戦略として機能し、観客に「霊探し」をさせ、作品を何度も観てもらうきっかけになったことは間違いないでしょう。
まとめ:事故物件の映画は本当にひどいのか
これまで解説してきたように、映画『事故物件 恐い間取り』の評価は、観る人の視点によって大きく変わります。最後に、本作がなぜ賛否両論を巻き起こしたのか、その要点をまとめます。
- 本作は興行収入23億円超の大ヒットを記録した人気作品である
- 一方で「ひどい」「ゴミ」といった極めて厳しい評価も存在する
- 物語のベースは松原タニシ氏の実話だが、多くは映画的なフィクションである
- 恋愛要素やコメディ、バトル展開は映画オリジナルの脚色
- 主演・亀梨和也さんの芸人役としての演技は高く評価されている
- Jホラーを期待すると、後半のファンタジー展開に裏切られる可能性がある
- ホラー初心者にとってはジャンプスケアなどが十分に怖い
- ホラー上級者や原作ファンからは「怖くない」との声も多い
- クライマックスのバトルシーンは恐怖よりも笑いを誘うと話題になった
- ジャンルが混在するため、誰と観るかによって気まずい空気になることがある
- 「捨て子のくせに」というおばあちゃんのセリフは劇中のキーポイント
- 「霊が写ってる」という噂は多数あるが、真相は不明である
- Jホラーの巨匠・中田監督への高い期待が、厳しい評価の一因となった
- 本格的な恐怖を求める層には不評だが、エンタメとして楽しむ層には支持された
- 結論として、観る人の求めるものによって評価が180度変わる作品と言える
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