
「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」は非常に高い評価を受けている一方で、一部では「つまらない」との声も上がっています。
映画を観て「ひどい」「怖い」と感じたり、物語の展開がよくわからない、あるいは登場人物がただただかわいそうに思えたりした方もいるかもしれません。
また、話題になった気まずいシーンの意図や、そもそも過大評価ではないかという疑問、さらには海外の反応も気になるところです。
この記事では、物語の核心である「水木はなぜ記憶が無いのでしょうか?」という大きな謎や、通常版と真生版の違いにも触れながら、作品が「つまらない」と感じられる理由を多角的に解き明かしていきます。
🎯『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』をおすすめする人ポイント
- 『ゲゲゲの鬼太郎』の“原点”や裏設定に興味がある人
- 社会の闇、人間の業をテーマにした重いドラマが好きな人
- 水木しげるの人生や思想に惹かれる人
- 子ども向けではなく、大人向けのアニメ映画を探している人
- ホラー要素やサスペンス要素のある作品を楽しめる人
💬 この作品は、水木しげるの戦後体験や人間ドラマに焦点を当てた、ダークで重厚な「ゲゲゲの鬼太郎」スピンオフです。
妖怪活劇よりも、人間の業や戦争の闇に切り込んだ物語が好きな人には特におすすめですが、明るくて軽快な鬼太郎作品を期待する人には向きません。
作品情報
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 劇場公開日 | 2023年 11月17日 |
| 監督 | 古賀豪 |
| 上映時間 | 104分 |
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💬 ふむふむ…“つまらない”という声の裏には、想定外の展開や陰惨な描写への戸惑いがあるようだね。これは期待とのギャップが生んだ“謎”と見た!徹底的に調べてみよう!
「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」つまらないと言われる理由
ここでは、「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」に対して一部の観客がなぜ「つまらない」と感じるのか、その主な理由を掘り下げていきます。
- 過大評価?興行収入と口コミの熱量
- 胸糞展開がひどいという感想も
- 主要キャラがかわいそうすぎる?
- 話が難しい・わからないとの声も
- 妖怪より人間が怖いホラー描写
過大評価?興行収入と口コミの熱量

「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」は、2023年公開版と2024年の「真生版」を合わせると累計興行収入が30億円を突破するなど、商業的に大成功を収めました。
この成功の背景には、SNSを中心とした熱狂的な口コミやファンアートの拡散が大きく貢献しています。
ただ、この熱量の高さが、一部で「過大評価ではないか」という声を生む一因にもなっています。
特に、週替わりで配布される来場者特典を目当てにリピート鑑賞するファンが多く、興行収入の数字が作品の純粋な評価以上に押し上げられた側面は否定できません。
また、各種ファン投票で上位に入る現象も、熱心なファンコミュニティによる組織的な投票活動の影響が指摘されています。
そのため、一般的な知名度や評価以上にコアなファン層によって人気が支えられている印象を受ける人もいるようです。
このような背景を知らずに鑑賞すると、期待値と実際の内容との間にギャップが生まれ、「思ったほどではなかった」「つまらない」と感じてしまう可能性があります。
つまり、作品の面白さとは別に、熱狂的なムーブメント自体が評価を二極化させる要因になっていると考えられます。
胸糞展開がひどいという感想も

本作が「つまらない」あるいは「ひどい」と評される大きな理由の一つに、非常に救いのない、いわゆる「胸糞展開」が挙げられます。
物語の舞台となる哭倉村(なぐらむら)は、日本の近現代史の暗部を凝縮したような閉鎖的社会です。そこで描かれるのは、単純な妖怪退治譚ではありません。
龍賀一族の悍ましい因習
物語の中心となる龍賀家には、「当主が一族の女性に子を産ませる」という近親相姦を肯定するおぞましい家訓が存在します。
この事実は直接的な映像描写こそないものの、登場人物の台詞によって生々しく語られ、多くの観客に強烈な不快感を与えます。
このような倫理的に許容しがたい設定が、物語の根幹にあること自体を受け入れがたいと感じる人は少なくありません。
容赦のない暴力と搾取
さらに、戦争のトラウマ、社会的差別の構造、そして利益のためなら非人道的な行いも厭わない権力者の腐敗が、これでもかと描かれます。
特に、幽霊族が血液製剤「M」の材料として非人道的に扱われる様や、罪のないキャラクターが次々と惨殺されていく展開は、観る者に重苦しい感情を抱かせます。
これらの要素は、物語に深みを与える一方で、エンターテインメントとして楽しむにはあまりにも陰惨で、後味が悪いと感じる観客も多いのです。
そのため、「ただ胸糞が悪いだけで、面白くない」という感想につながることがあります。
主要キャラがかわいそうすぎる?

物語の悲劇性は、主要キャラクターたちの境遇にも色濃く反映されており、そのあまりの不憫さに「かわいそう」で見ていられない、という感想も多く見られます。
特に、観客の同情を一身に集めるのが、龍賀家の娘・沙代です。彼女は村からの脱出を夢見ながらも、一族の悍ましい因習の犠牲者であり続けます。
東京から来た水木に淡い希望を抱きますが、その想いも利用され、最後は人間としての尊厳を奪われたまま狂骨に呑み込まれてしまう最期は、多くの観客の胸を締め付けました。
また、沙代のいとこである時弥も、当主の呪術によって心身を蝕まれ、幼いながらに過酷な運命を背負わされます。
彼が沙代を救おうとして自らも非業の死を遂げる場面は、物語の救いのなさを象徴しています。
主人公の一人である鬼太郎の父(ゲゲ郎)も例外ではありません。最愛の妻を探す中で、一族に捕らえられ、薬の原料として肉体を切り刻まれるという壮絶な拷問を受けます。
最終的に生き残ったのが左目だけという結末は、ビジュアル的にも境遇的にもあまりに痛々しいものです。
このように、登場人物のほとんどが幸福になれず、壮絶な苦しみの末に命を落としたり、大切なものを失ったりします。
この徹底した非情な展開が、「ただただキャラクターがかわいそうで、物語として楽しめなかった」という評価の一因となっています。
話が難しい・わからないとの声も
「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」の物語は、複数の要素が複雑に絡み合っており、「一度観ただけでは話がよくわからない」と感じる人も少なくありません。
まず、登場人物、特に龍賀一族の人間関係が非常に複雑です。誰が誰の子供で、どのような思惑で動いているのかを把握するのが難しく、物語の序盤で混乱してしまうことがあります。
また、昭和31年という時代背景も重要な要素です。戦後の復興期における社会の空気、血液銀行といった当時の制度、戦争が人々に残した深い傷跡など、ある程度の予備知識がないと、キャラクターの行動原理や物語の深層を理解しきれない部分があります。
さらに、物語は因習村を舞台にしたミステリーの体裁をとりながら、多くの伏線が張り巡らされています。
例えば、なぜ龍賀家の犠牲者は左目を狙われるのか、桜の木が持つ意味は何かなど、考察を前提としたような描写が多く、ライトな感覚で楽しみたい観客にとっては情報過多に感じられるかもしれません。
これらの理由から、物語の展開についていけず、「結局何が言いたかったのかわからない」「難解でつまらなかった」という感想に至るケースがあるようです。
妖怪より人間が怖いホラー描写

従来の「ゲゲゲの鬼太郎」シリーズは、不気味な妖怪が登場するものの、どこか教訓めいた内容や、子供でも楽しめる範囲のホラーが中心でした。
しかし、本作は「妖怪よりも人間の業の深さ」を主軸に据えた、全く質の異なるホラー作品です。
作中には、妖怪が引き起こす怪奇現象もありますが、それ以上に観客を震撼させるのは、人間による残虐な行為です。
龍賀一族が行う非人道的な人体実験、欲望のために繰り広げられる骨肉の争い、そして登場人物が斧で惨殺されたり、巨大な換気扇に吸い込まれてミンチになったりといった、直接的で過激なスプラッタ描写も含まれます。
このような生々しい暴力や、人間の内面に潜む底知れぬ悪意は、伝統的な妖怪譚を期待していた観客にとっては大きなギャップとなります。
「鬼太郎映画」という先入観で観ると、その陰惨さに圧倒され、「求めていたものと違う」「怖すぎて楽しめない」と感じる原因になります。
したがって、本作のホラー要素は、超自然的な恐怖よりも、人間の心理的な闇や社会の病理に根差したものであり、この大人向けの作風が評価を分ける大きなポイントと言えるでしょう。
「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」はつまらない?深掘り解説
作品の評価は、観る人によって大きく分かれます。ここでは、物語の核心に迫る疑問や、作品をより深く理解するためのポイントを解説します。
- PG12指定と気まずいシーン
- 水木はなぜ記憶が無いのでしょうか?
- 通常版と真生版の違いを解説
- 海外の反応から見る本作の評価
- 「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」はつまらないのか?
PG12指定と気まずいシーン

本作はPG12指定(12歳未満の鑑賞には保護者の助言・指導が必要)を受けていますが、一部の観客からは「それ以上に過激だ」との声も上がっています。
指定の主な理由は殺傷・出血描写ですが、それ以上に観客を「気まずい」気持ちにさせるのは、倫理的なタブーに踏み込んだテーマ性です。
最も象徴的なのが、物語中盤で龍賀家の長女・乙米が水木に向かって「龍賀の女は当主の子を産むのが務め」と、近親相姦を悪びれもせずに語るシーンです。
直接的な映像はないものの、この台詞だけでおぞましい因習の実態が示唆され、特に家族連れで鑑賞している場合、どう反応していいか分からなくなるほどの衝撃があります。
また、沙代が過去に性的暴行を受けたことをほのめかすフラッシュバックも一瞬挿入されます。これも数秒の描写ですが、文脈を理解すると非常に重く、作品全体の陰惨なトーンを決定づけています。
これらのシーンは、子供向けアニメとしての「ゲゲゲの鬼太郎」のイメージを根底から覆すものです。
グロテスクな描写以上に、こうした心理的・倫理的な不快感を伴うテーマが、本作を単なるホラー映画ではなく、大人向けの社会派ドラマたらしめている要因です。
しかし、その重さゆえに、純粋なエンターテイメントを求めていた観客にとっては、受け入れ難い「気まずい」要素となっているのです。
水木はなぜ記憶が無いのでしょうか?

物語のラストで、哭倉村での壮絶な出来事を生き延びた水木が、事件に関する記憶を全て失っていることは、多くの観客が抱く大きな疑問の一つです。
これは物語の根幹に関わる重要な設定であり、いくつかの理由が考えられます。
狂骨の呪いによる影響
最も直接的な理由は、哭倉村に満ちる「狂骨」の強力な呪いの影響です。狂骨は、龍賀一族によって無念の死を遂げた人々の怨念の集合体であり、その瘴気に長時間さらされると、記憶や正気そのものが削り取られてしまいます。
作中でも、心を失った龍賀孝三がその実例として登場します。水木もまた、この強力な呪いをまともに浴びてしまったのです。
霊毛ちゃんちゃんこの役割
では、なぜ水木は孝三のように完全に心を失わずに済んだのでしょうか。それは、鬼太郎の父から託された「霊毛ちゃんちゃんこ」のおかげです。
このちゃんこには、幽霊族の霊力によって着用者の「心」を守る力がありました。
しかし、水木は脱出の道中、衰弱していた鬼太郎の母(岩子)を案じ、自身が着ていたちゃんちゃんこを彼女に着せかけます。
この自己犠牲的な行動により、水木自身への防御がなくなり、呪いの直撃を受けて記憶を失ってしまったと考えられます。心は守られたものの、記憶までは守りきれなかったということです。
物語構造上の必要性
この記憶喪失は、物語の構造上も重要な役割を担っています。本作は、アニメ第6期の前日譚であると同時に、原作『墓場鬼太郎』の冒頭「鬼太郎誕生」のエピソードにも繋がるように作られています。
原作では、水木は鬼太郎一家と初対面として出会うため、もし哭倉村での記憶が残っていれば、物語に矛盾が生じてしまいます。
したがって、水木の記憶喪失は、キャラクターの悲劇性を際立たせると同時に、シリーズ全体の整合性を保つための、脚本上の巧みな装置でもあるのです。
通常版と真生版の違いを解説
2023年11月に公開された通常版(PG12)に続き、2024年10月には『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 真生版』(R15+)が公開されました。
この二つのバージョンは、物語の筋や上映時間に大きな変更はありませんが、映像と音響表現において明確な違いがあります。
| 項目 | 通常版(PG12 / 2023年) | 真生版(R15+ / 2024年) |
|---|---|---|
| 主な変更点 | - | 327カットのリテイク、全編の音響再ダビング |
| レーティング | PG12(12歳未満は保護者の助言・指導が必要) | R15+(15歳未満は鑑賞不可) |
| 流血・ゴア描写 | 傷口や出血シーンは比較的抑制的 | 血飛沫の量や勢いが増加。より直接的で鮮血的な表現に。 |
| 色彩 | 全体的に落ち着いたトーン | 血の「赤」や夕景などがより鮮烈に強調され、妖しい美しさが増している。 |
| 音響 | オリジナルミックス | 環境音や効果音(骨のきしむ音など)が強調され、臨場感と恐怖感が増幅。 |
| 上映時間 | 104分 | 105分(一部カットの間(ま)の調整による微増) |
真生版の最大の特徴は、制作陣が当初表現したかった「恐怖」と「妖しい美しさ」をより突き詰めている点です。
特に、映倫のレイティングが引き上げられた主な要因である「流血描写」は格段に強化されています。これにより、戦闘シーンや惨殺シーンの衝撃度が増しています。
しかし、監督が語るように、単にグロテスクになっただけではありません。
キャラクターの表情の細かな修正や、色彩、音響の調整によって、登場人物の感情の機微や物語の持つ悲哀が、より深く観客に伝わるように設計されています。
どちらを観るべきか迷った場合、作品の持つホラー表現や芸術性を余すことなく体験したいのであれば「真生版」がおすすめです。
一方で、過度な残酷描写が苦手な方や、まず物語の全体像を掴みたいという方は、配信サービスなどで観られる「通常版」から入るのが良いでしょう。
海外の反応から見る本作の評価

「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」は日本国内だけでなく、台湾、韓国、インドネシアといったアジア圏を中心に海外でも公開され、好評を博しています。
また、世界最大級のアニメーション映画祭であるフランスのアヌシー国際アニメーション映画祭のコンペティション部門に選出されるなど、国際的にも高い評価を得ています。
海外のレビューやSNSでの反応を見ると、多くの場合、本作のダークで大人向けの作風が称賛されています。特に、以下の点が評価されているようです。
- 骨太なホラー&ミステリー: 多くのレビューで、横溝正史作品のような日本の因習村ミステリーの様式と、妖怪というファンタジー要素が見事に融合している点が指摘されています。妖怪を知らない海外の観客にも通じる、普遍的な物語構造が高く評価されています。
- 社会派なテーマ: 戦争のトラウマ、階級社会の腐敗、差別といった重厚なテーマを、アニメーションという手法で描き切ったことへの驚きと称賛の声が多く見られます。
- 映像美と作画: 美しい背景美術と、迫力あるアクションシーンの作画クオリティは、国を問わず絶賛されています。
一方で、日本国内と同様に、その陰惨さや救いのない展開を指摘する声もあります。「子供向けの『鬼太郎』だと思って観ると裏切られる」という点は、海外の観客にとっても同様のようです。
総じて、海外では「水木しげる」や「ゲゲゲの鬼太郎」というブランドを知らない観客からも、一個の優れたダーク・ファンタジー・ホラーとして受け入れられています。
このことは、本作が特定の文化圏に留まらない、普遍的な魅力と強度を持った作品であることを証明していると言えるでしょう。
「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」はつまらないのか?
この記事で解説してきた様々な側面を踏まえると、「鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎」が「つまらない」と感じるか否かは、観客がこの映画に何を期待するかによって大きく左右されることがわかります。
- 期待値ギャップが最大要因
妖怪活劇を求めた観客ほど「暗すぎてつまらない」と感じやすい。 - 胸糞展開が好き嫌いを二分
近親相姦・人体実験など陰惨なテーマが物語の核を占める。 - 主要キャラに救いがない
沙代らが悲劇的最期を迎え、後味の苦さが強烈に残る。 - 複雑な人間関係と伏線
龍賀一族の系譜や昭和史の背景が理解を難しくしている。 - “人間の業”中心のホラー
妖怪より人間の悪意が怖い作風がシリーズ従来ファンと衝突。 - PG12でも気まずいシーン多数
性的タブーを台詞で突き付ける場面が観客を選ぶ。 - 水木の記憶喪失は構造上必然
狂骨の呪い+自己犠牲で記憶を失い、シリーズ整合も担保。 - 真生版で恐怖演出を増強
327カット改修と音響強化でR15+相当の没入感に。 - 熱狂的ファンが興行を牽引
SNS拡散と特典リピートで興収が伸び、過大評価と見なされがち。 - 評価は“観る視点”で逆転
重厚な昭和因習ミステリとして臨めば傑作、娯楽妖怪映画を期待すれば失望。
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